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このブログは企画系創作作品をまとめたブログです。主更新はオリキャラRPG企画になっております。
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携帯でちまちまやっていた小話を小話カテゴリにしました。
HDDクラッシュにより消失した未発表の小話数話の内容を重要部分だけかい摘まんであります。
消えたほうの話の復旧はもしかしたらやらないかもしれないので。






そこは底であり鏡であり裏である場所。ありとあらゆるものに隣接する世界。
そして今は、絆の大地に隣接している。
「ようこそ審理の間へ」
シャボンのような軽薄な光沢の玉虫色の輝きが、かしこまって礼をした。
「本件は我が招集にお応えいただき誠にありがとうございます。今界の構築・議事進行は私玉虫が担当させていただきます。いつもの通り神聖の輝黄さまは永久欠席…」
「前置きはいいよ。どうせ面子なんて変わりやしないんだから」
暗い紅が厭味たらしく笑う。
真っ白い空間には玉虫と暗紅しか居なかった。席の割り当て上決して向かい合うことのない 二者は、普段ならこのまま二人だけで顔を付き合わせることなく終わるのだが。
「…では、瑣事は省きまして、本件の審理は暗紅さまと真青さまで行い ます」
玉虫の言葉に、えっ、と暗紅は顔を上げ正面を見た。いつもなら空席の―――――いや、席すら無い空白に真なる青の輝きが居る。
「珍 しいね。真青がわざわざ赴くだなんて」
「赴く? 輝黄無き場所が我が居場所なれば、此処は私の領域です。領域に居ることに何をおかしなことがあると云うのです?」
「まったく、素直じゃないね」
暗紅は笑ったが、真青は応えなかった。彼のことだから本気でそう思っているのかも知れない。
「挨拶はそこそこにして本題に移りましょう。せっかく真青さまにご出席いただけたのですから」
「どうせ議題は暗紅のことでしょう?」
淡々と真青が尋ねる。「我々には議題に上るようなことがありませんから」
「僕は常に革新しているからね」
「落ち着きがないだけでしょう」
「向上心があると表現して欲しいね」
含んだように暗紅が笑った。「それに議題に上る事柄なら、変わってるだけの僕よりも玉虫の方が多いんじゃない? 彼のが謎が多いでしょ」
「彼の謎は、解明される必要がありませんから」
名の色が示す通り、赤と緑は対極にしてよく似た性質があった。同じく謎を持つ両者の相反するところは必要か否か。
解く必要のない謎を持つからこそ、彼はただの緑ではなく煌めく緑の『玉虫』と呼ばれるのだ。
「私の事など、あなたがたを喚んで語る程のことでもありますまい。必要なのはあなたがたの事でしょう」
「まるで私まで隠し事をしているような言われですね」
「真青さまに隠しているつもりはないのでしょうが、あなたは言葉が少な過ぎます」
「僕だって隠してるつもりはないよ?」
「暗紅さまは婉曲し過ぎるのです。一つを示すのに使う言葉が多過ぎる。それでは真実に到る前に諦められるか、真実を見誤られてしまいます」
「言うねえ。そういう君はどうなのかな?」
「私は言の葉より成るもの。違えることなどありません」
「そうですよ暗紅。玉虫が言を違える筈がない」
ここにきて、初めて真青が笑ったようだった。ごく薄く、冷笑と言える冷たさで。
「彼は必要な言を必要なだけ使い、狙い通りに騙るのです。故意にやっているものを我々の癖と一緒にしては失礼というもの」
「ああ、成る程」
真青に同調して、暗紅もにやにやと笑う。
玉虫はそんな二人に動じることもなく微笑みを保ってい た。
「………それでは討議を始めてよろしいでしょうか? 本件の議題は『紅い薬』についてです」
笑顔のまま、暗紅に顔を向ける。「単刀 直入に聞きます。『紅い薬』とは何ですか?」
「残念ながらその質問は無意味だ」
至極真っ当に暗紅が答えた。ふざける隙すら無いというよう に。
「紅い薬は紅い薬だ。それ以上の言で表現すれば、それは全て不完全に終わってしまうし、それは君が望む解答ではないだろう。ましてや許容出来る範囲が狭いのなら、自身が受けきれる解答が返ってくるように質問を洗練しなければならない」
「質問を変えろですって」
真青は暗紅の演説を6文字に要約した。
「では質問を変えます。紅い薬の万能性について、本当に『万能』なんですか?」
「また極端に回答の幅が狭まったね。 二択じゃないか」
「この世で最も簡単な分別ですから」
「答えは『Yes』。薬は確かに万能だよ」
「なんでも出来ると?」
「うん」
「出来ぬことは無いと?」
「……ふふふ、アーッハッハッハッハハハハハ! これだから君達は見飽きないんだ。どれほど時を重ねても、この魔術は迷宮のように奥が深い」
突然大笑いしだした暗紅に、しかし2人は大きな反応は示さなかった。真青はいつも通りに、玉虫は次の句への期待をこめて。
「今日は特別だ。特別丁寧に答えてあげよう。馬鹿みたいな質問へのお礼にね」
暗い紅は一際強く輝きながら、席を立ち杖を一振りした。直後、空間が漆黒に染まる。彼の領域たる胎地の姿を映したようだった。
「僕は薬を万能だと言った。だが全能だとは言っていない。なんでも出来ることと出来ぬことが無いことは違う。言い訳などではなく、事実としてね」
その辺の理屈はあなたのが詳しいんじゃないかな、と暗紅は真青を見たが、真青は応えなかった。
「そして君達の多くは薬の万能性を訝る。僕らならともかく、君達が疑うことなど無いのにね」
「成る程、それが『万能』のカラクリですか」
感情の篭らない声で、真青。
呟きに追従し、促すように暗紅が頷 く。
「薬の万能は3次元的なものと云うことですね。確かにそれならば人の目には万能に映る。我々から見たら小細工にすらなりませんが」
「そ ういうこと。平面的に成しうることは限られてるから、平面的な神の万能には敵わないけどね。立体的に見れば出来ないことはないよ」
「解りました。 人の次元において万能であることは確かなのですね」
「理解してもらえて嬉しいよ」ついでに、と暗紅は続けた。
「一番最初の疑問について。 紅い薬について、偽りなく言えることが一つある」
「何でしょうか?」
「あれは道具だ。遣われてこそ真価を発揮する」
「……成る程」
思うところがあったようで、玉虫の応答が少し遅れた。真青には特に反応はなかった。
「他に訊きたいことは?」
「…いいえ、本件はこれで十分です」
再び椅子に腰を下ろして尋ねる暗紅に、玉虫は首を横に振った。ぱちんと指を一つ鳴らすと、暗紅の喚んだ漆黒が晴れ白い空間が 戻ってきた。
「私からの質問は以上です。暗紅さま・真青さまから言伝たいことなどございますか?」
玉虫は向かい合う二つの光を交互に確認 する。何もないかと思ったとき、真青は真っ直ぐに手を挙げて、口を開いた。
「改めて尋ねます。暗紅、紅い薬の存在理由とは何ですか?
彼らは何の為に存在しているのです」
「改めて答えよう、真青。僕は神に救われぬものの為に薬を創った。神などという不確かなものではなく、確かに実在する救いを顕す為だ。その思いに嘘偽りは無い」
「…思いに嘘偽りが無いのは真なのでしょう」
静かに、どこかしみじみと真青は呟く。相変わらずの無表情ではあるが、瞳にどこか憐れみのような揺らぎを宿した視線で暗紅を見つめて。
「ですが、その思いが正しく現されているかは甚だ疑問で す。あなたの子たるアップルフィールドやジョウガを見ても、とてもあなたの意図は汲み取れない」
「心亡きあなたに言われるとは思わなかったよ。意図が見えないことに関しては、そっくりそのままあなたに返す。外から兎を拾い集め、分神まで創って何がしたいのやら」
「心亡きと言えど全く無い訳 ではありません。起伏がごく薄いだけ…。ええ、私も質問が悪かったようですね。『貴方は誰ですか?』」
「僕は僕だ。エリクシール・レッドアイズ、 人の位置に生まれ神の位置に到った者。今は、人の願いに与えるもの」
淀みなく応える。
「それだけじゃあ、足りない?」
挑むように暗紅は問い掛けた。戦意というよりは悪戯を仕掛けた子供のような無邪気な笑顔で。
真青はわずかに言い淀んだ。出掛けた言を引っ込めて、代わりの言葉をゆっくりと紡ぐ。
「…今はそれでも構いません。ですがいずれ、その先が明かされる時が来る。その時は―――――」
「その時は、僕の最期だ」
言葉と共に暗紅は帽子の鍔を直した。
と、その姿が席上から掻き消える。
「じゃあ僕はもう帰えらせてもらう。久しぶりに真青と話せて楽しかったよ」
空になった席と別れを告げる声だけ残して、暗紅は審理の間を後にした。
「しまった、逃げられた…」
「構いませんよ」
その場からは一歩も動かず台詞だけで悔しがる玉虫に、真青が返した。どの道彼が居なければ審理にならない。彼の気が乗らなければ、居て も審理など出来ないのだから。
「でも、神員揃えて開界宣言したのは私ですし、閉界もちゃんとしたかったなーと…」
「……………」
そ んなことの為に悔しがっているのか、とは言わなかった。
言葉の代わりに一つ嘆息をすると、真青の姿も掻き消えた。
「あれ、真青さま?」
「も う疲れました。閉界はあなたの方で適当になさい、玉虫」遺言の直後、気配までもが完全に消えて真青は審理の間を去った。
一人残された玉虫は、白い空間を見回した。優美で豪奢な彫刻と真っ赤なベルベットの張られた椅子、それに向かい合うように置かれた組木と青い貴石で飾られた梯子背椅子。そして、それら二つの椅子を横から眺めるように置かれた緩やかな曲線が表す白い椅子。
白い椅子の斜め後ろには、石造りのアーチがある。その真下が玉虫の立ち位置だった。
「えーと、あー…、ごほん。それでは本件はこれで終了とし、審理の間は閉界致します」
空の椅子三つに向かって、玉虫は恭しく 礼をする。
「今界の構築・議事進行は私玉虫が務めさせていただきました。何人も何神も、次界のご参加をこの三界生者玉虫、心よりお待ちしておりま す」
石のアーチの真下にて、玉虫はその名に相応しいシャボンのように軽薄な輝きを纏った玉虫色の双眸を閉じた。
審理の間が閉ざされた。



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