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01 2008 / 09
タイトルが思い浮かびませんでした…。
とりあえずジョウガ関連。
多少のバラバラ殺人がありますので読むのに注意です。




旅に危険はつきものである。
野を行けばモンスターに遭い町を行けば悪人に遭い、この身が健常であり続ける保障などどこにもなく。
かつて旅をし一時離れて、再び旅をし始めた身としては初心を忘れてはいまいと思っていたが。
テーブルに突っ伏したままの連れ二人をぼんやりと眺めながらジョウガは呟いた。
「どうしても飲まなくてはならんか?」
目の前には毒の入ったカップがあった。連れに出されたのと同じもの。これを飲めばあの二人のようになるのだろう。
カップを出した張本人たちは悪気など見せずににこにこと笑っていた。気のよさそうな老夫婦、この様子ならば強盗でもあるまいと油断したのはジョウガの方だ。
「一つ聞くが…あんた達はいつもこんなことをやっているのか?」
「ええ、ええ。私達はこれで生活しております。この辺りは村もありませんからねえ。これが一番確実なんですよ」
「なるほど…」
なぜわざわざこんな処に住んでいるのかは聞かないでおいた。ここに立ち寄る前、山間に見えた湖。その下にはこの家とよく似た造りの村が沈んでいた。災害か何かで沈んだ村の元住人、老人ともなれば長距離の移動は難しいし土地への愛着も強くなるだろう。
だからといって強盗宿をやっていい理由にはならないが。
「早く飲んで、お子さん方のところに行ったほうが良いのではありませんか」
「子供、ねえ…」
連れは妙齢の女と、二桁もいかぬような幼子だ。後者はともかく前者まで実子に見られるのはなんとも複雑な気分だった。前に愛人かと尋ねられたときよりかはマシか。
ジョウガは一つため息を吐いた。
いつの間にやら老人は猟銃を手にしており、これ以上待たせるとあれで止めを刺されかねない様子だった。それはちょっと勘弁願いたい。
仕方なしにカップを手に取る。口に近づけていく間も顔色一つ変えない老夫婦に呆れながら、ジョウガがカップの縁に口をつけようとした瞬間。

かしゃん、と音を立ててカップが落ちた。
その場に居る誰もが状況を理解できなかった。
カップは取っ手部分だけをジョウガの手に残してテーブルの上に転がっていた。毒入りのお茶はテーブルを伝ってジョウガの膝に落ちる。
落ちたカップと取っ手を交互に見ていた老夫婦は、取っ手を持つジョウガの視線がカップに注がれていない事に気がついた。
ジョウガが見ていたのは手だった。先に毒をあおりテーブルに伏していた女の手。今しがた取れた取っ手を示すように肘をつきジョウガに向かって人差し指を向ける白い手は、年頃の娘にしては妙に節くれだっていて細長かった。まるで木の枝のような手。
いや、それ以前に突っ伏した直後の女は、ジョウガに指を向けてなどいなかった。
いつの間に動いた、いや確かに死んでいるはず。老婆が考えながら女に近づくと、不意にひゅんという風切り音と同時に女の人差し指が消えた。

音もなく老婆は崩れ落ちた。
正確には、老婆の半分だけが。頭の天辺からつま先まで綺麗に両断された老婆は、まず左半分が真下に滑り落ち、続いて一本足で支えきれなくなった右半分がテーブルに向かって倒れこんだ。

「ひっ…!!」
突然の出来事に声も出なかった老人がダイニングを飛び出すと、その直後に女がむくり起き上がった。目の前に横たわる半分だけの老婆を気にも留めず、血の付いた人差し指をテーブルクロスで拭う。
「やりすぎだメリッサ」
「ジョウガが油断しすぎなのだ。殺す気でかかってくるものを殺しにかかって何が悪い」
美しく整っていると言えるであろう白皙の顔に何の表情も浮かべずにメリッサは淡々と応えた。
「そう思うのならもう片方にも止めを刺せ。逃げられたぞ…あれには何も出来ないだろうが」
「逃がしてなどいない」
テーブルに手をついて立ち上がったメリッサは自分の席の向かいを目で示す。テーブルに添えられた手は普通の女の手になっていた。
ジョウガはソーサーが置いてあるだけで誰もいない席に気づいていないかのような態度で、持っていたカップの取っ手をテーブルに置いた。

何が起こったのか。突然ばあさんが真っ二つになった。
長年連れ添ったものの異様な死を悲しむよりも先に、圧倒的な恐怖がこみあげた。
あれはなんなのだ。確かにあの女と子供は毒を飲んだ。今まで仕損じたことなどなかったのに。
わからないことが多すぎて、考えてる暇もなかった。とにかくここを離れなければ。恐怖から起きた危機回避反応は恐怖すらも塗り潰して老人の足を動かす。
故に、前方に佇む『死んだはずの子供』にさえもその異常性を判断する余裕がなかった。ただの障害物、その程度にしか考えられなかった。
子供の横を抜けて行こうとすれ違った瞬間、老人はつまづいてしまった。
しまった、と一回転する視界の中で老人は思った。視界の端で子供が口を動かしているのが見えたがそんなことはどうでもいい。早く起き上がって逃げなければ。
着地の衝撃の後急いで辺りを見回した老人は、こちらを見て立っている子供の横でふらふらと揺れる自分の下半身と出口に向かって廊下の床板を必死に掻き毟っている自分の頭のない上半身を見てようやく先程子供が言っていた事を理解した。
さよなら、と。

女と同じように腕と同じ長さの枯れ枝のようになった手を元に戻して、子供はダイニングに戻っていった。
ダイニングでは子供が出て行ったときと同じようにジョウガが着席しており、女の姿はなかった。
「終わらせましたよ」
「そうか」
「メリッサはどこへ?」
「…押しかけ強盗をしている」
「失礼なことを言うな」
子供とジョウガが話していると、奥の寝室と思しき扉からにょきりとメリッサが顔を出した。
「こんなことにならなければ、強盗などしないわ」
「今やってることが強盗だという自覚はあるのか」
「やつらに服を汚されたんだ。クリーニング代くらい貰うのが筋というものだろう」
「……だそうだ」
肩を落としながらジョウガが嘆息する。要するにメリッサは寝室を物色しているということだ。
「アップルフィールド、それにジョウガも探せ。いつまでも茶まみれ血まみれな服を着ていたくないだろう」
「仕方ないな…」
「じゃあ、僕はキッチンを探してきますね」
メリッサに急かされジョウガとアップルフィールドは家捜しを始めることになった。
二人のほうがよほどしっかりしているな、と思ったが、立ち上がって視界に入った床に転がる老婆の半分に、やはりどこかずれているとジョウガは自分の考えを改めた。




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無題
こちらでははじめまして!
そして携帯から今晩は、水鴇です
続きみたいなものがどうしても書きたくて書いてしまいました
未登録の二人だし間違いとかあったらすみません!




まず目に飛び込んだのは真っ赤に染まった人だった物体
切り口は滑らかで刃物で切ったにしては不自然だ
「ヒュー、テダレだなこりゃ」
身の丈ほどの棺桶を担いだ男は死体を物珍しげに眺めた
「カーティスさん感想は?」
「見てて吐き気を感じますね」
カーティスと呼ばれた茶髪の男は棺桶を担いだ男に視線を泳がせた
すっぱりとした切り口からは血が流れ続け、地面を濡らしていく
「不老不死のくせに女々しいな」
「うるさいですね。貴方とは違うんですよ殺人鬼」
乾いた笑いを立て、殺人鬼は裾に隠れていた左手で死体を撫でた
「血は流れてるけどもう何時間かたってるな。年老いて皮膚が脆いとはいえ人間の首をこんなに綺麗に切れるかね」
「かなりの力持ちとかじゃないんですか?」
殺人鬼はカーティスをみて笑った
「力持ちでも剣には少なからず凹凸があるんだぜ?いくら横に切り裂いてもここまでにはならない」
殺人鬼は両手でもの言わぬ男性の頭を持ち上げた
「見ろよこの顔。気付いたら死んでたって表情だぜ」
カーティスも言われて顔を覗き込んだ
死体は目を見開いているものの、口元は硬く結ばれ殺された事を理解しているかどうか
「でも何かを恐がってるようですね」
「大方何かから逃げてたんだろ。こいつが街で噂になってた宿屋の主人なら犯人見つけるのは難しいぜ」
「殺人宿の主人とは思えませんが」
体つきは老人にしてはまだいいほう、恐怖で固まった顔はもとは人が良さそうだったに違いない
宿屋の主人だったのなら殺される動機も山ほどある
報復、自己防衛、強盗・・・
「顔は人を騙すためにあんの、まぁとっとと宿に行ってみようぜ」

「あちゃぱー」
殺人鬼は顔に手を当てて割れたカップや床に染み込んだ紅茶に勿体なさそうな視線を投げた
「腕がたつでころか毒も効かないんですか」
カーティスは台所と思われるところから毒が入れられた小瓶を抱えてやってきた
小瓶の数が多いので床にいくつもの瓶が落ちている
「俺は婆ぁの切り口見て言ったんだけどなぁ・・・つーか毒も効かねぇのかよ」
殺人鬼は先程と似た殺され方をした老婆を見つめた
身体が右側と左側が血の海に沈み、顔が裂けて表情はわからない
「同一犯ですね」
「連れは二人だな。カップは婆ぁと爺ぃの分引いても三つだし」
「仲間を毒殺されて逆上、勢い余って老夫婦を殺してしまったんでしょうね」
「連れも毒が効かないらしいな」
「はい?」
殺人鬼は一旦部屋をでて奥の服が散乱した寝室に足を踏み入れた
「死体は斬殺のみ、毒殺された死体は無し」
「埋葬したんじゃないんですか?」
カーティスは足元に散らばった衣類を足で壁ぎわに寄せながらため息をついた
あの部屋にのみ血の匂いが染み付いていると思っていたが寝室まであの独特の匂いが届いていたのだ
「仲間の死体を放置するほどの人ではないって事です」
「俺ぁあんな達人技を持った上でさらに慈悲深げな奴は居ないと確信してる」
殺人鬼は服を磨り潰すかのように爪先で振り返り胸をはった
カーティスは肩を竦めると老婆が倒れている部屋へと戻った
軽く息を吐き出して死体を調べる
調べるといっても死亡した時間の推測を立てるだけなのだが
「主人より先か・・・」
恐らく相手が毒を飲んだのを見て油断したのだろう
床に転がっていた猟銃がやや疑問だ
斬殺か何かで銃で撃たれた跡もなく、猟銃の弾も入る分だけ詰め込まれている
主人か老婆が猟銃を持っていたと考えるのが普通だ
しかし、そうするとなぜ斬殺されたかがわからない
相手が刃物を持っていたら危ないなどと言って予め回収すればいいし、ナイフかなにかだったらあんなに滑らかに斬れるはずがない
毒殺された死体がないのもおかしい
人二人を埋めるのには時間がかかるしこの宿に通じる道は一本
ここにくるまでに誰にも会わなかった
つまり埋葬したという可能性は時間的にない
「カーティスーそろそろ夜だぜ」
扉の外側から殺人鬼はカーティスに声をかけた
「え、もうですか」
カーティスも顔を上げて窓をみる
夜闇に満たされた山ではもう追い掛けるのは不可能だろう
「いつか逢えますかね・・・」
「ぁあん?何か言ったか?」
「はい、今晩はここで寝ましょう」
「うげぇ死体と寝るのかよ!!」
「寝床があるだけ贅沢です」
「前言撤回。テメェは女々しくなんかないむしろ化け物だ」
「貴方も同じ化け物ですがね」
「テメェのせいだろ馬鹿」
彼は苦笑するしかなかった
水鴇 裕加 2008/09/06(Sat)22:23:27 編集
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