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このブログは企画系創作作品をまとめたブログです。主更新はオリキャラRPG企画になっております。
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24 2018 / 05
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24 2010 / 04
すさまじく頭の悪い話。
ぶっちゃけ藤縞はこんなことばっかり考えてますよ!

作中の図書館はいちおうインテグライメージですが、時代が時代なので実在してるか不安だったので濁してあります。
過去の話をノリと勢いで書いているから、時系列年表にすると大変なことになるんですよね…。



ひしめく本の壁に囲まれた長机に、ジョウガとメリッサは居た。
メリッサは机に向かい椅子に座って、ジョウガは机に程近い書架に背中を預けて、それぞれ本を読んでいる。メリッサの方は机に何冊もの本を積んで、薄笑いを浮かべながら熱心に読んでいるようだったが、ジョウガはたいして興味なさげに流す程度に文字を追っていた。
二人が読んでいる本も、周囲を囲む書棚に収められている本も一般的に『魔導書』と呼ばれるものだった。術の媒体としてではなく、知識としての魔法魔術を扱った本。
興味も素養も無い者にしてみれば、これほどつまらないものもない。それでも何もしていないよりかはマシかと思い、ジョウガは適当に棚から一冊抜いて頁をめくっていた。
「そんなに暇そうなら、お前が行けばよかったんじゃないか?」
「俺では術書のことなど解らない。お前は存在的に危ういからな。仕方あるまい」
視線は書面に落としたまま、メリッサは尋ねてきた。ジョウガはわずかにメリッサの方を向き、応える。
二人は閲覧制限のある図書の閲覧に向かったアップルフィールドを待っていた。希少な本であるため閲覧できる人数に制限があると言われたのだ。本人も言う通り知識の無いジョウガではどれが目当ての本なのかもわからないし、精霊が眠るといわれる図書館の深部には、メリッサのような特異な存在が近づくことはリスクが高い。故にアップルフィールドが閲覧に向かったが、広い図書館ではぐれるのも困るため、仕方なく二人で読書に勤しむこととなった。
「それにしても不便だな私は。お前が懸念するほど危険だとも思わんが」
「不必要な騒動はできるだけ避けたい。前にどこぞの森で妖精の大歓迎を受けたのを忘れたのか」
「歓迎なんてどこでも受けてるから特定のものなんて思い出せないね」
得意げに話すメリッサに、ジョウガは何も言わず肩を落とす。
「それにしても…、なぜ私の『父親』は私を人間にはしなかったのだろう」
本に向けていた視線を上げて、メリッサは呟くように漏らした。その音は感傷を含んだものではなく、純粋な疑問として言っているようだった。
長くは生きられない娘を救うために《紅い薬》にすがる。それだけならばなんてことのない事柄だ。だが、メリッサの父は薬の効能による延命ではなく、メリッサ自身に薬という存在を付与した。手段の一つとして無くはないが、非常に回りくどいことをしているのは確かだ。
「その選択肢を思いつかなかっただけじゃないか?」
「一国を生贄にして薬を呼び出すよりかはよっぽど簡単だと思うが」
「あいつの場合は、その生贄にすることも含めて目的だったからな」
愛する者を殺した者達を、それを見過ごした全ての人々へ復讐するために、彼らを紅い薬を生み出す資源とした。奪われたものの大切さを、奪った者達に解らせるため―――――いや、単純に“示すため”に、メリッサの父はメリッサに薬を与えた。
どちらかだけではなく、一連の動作全てが彼の目的だったのだ。だから、片方だけであってはならない。
「…人間になりたかったのか?」
「さあね。そもそも人間の定義は何だ? 種族のひとつに過ぎんだろうが、ジョウガの言う『人間』にはそれ以上の意味があるように思える。頭と体幹と四肢がある姿かたちとしての『人間』ならば、今の私も十分『人間』だ」
「形だけなら人形でも出来る」
「その通りだ。じゃあもう少し括りを大きくするか。人間だけではない『人』ならばどうだ。先に言った人間と人形の違いは精神活動だろう。だが、人間以外にも精神活動があるものはたくさんある。神や妖精、竜や獣にも居る。それらの精神格を『人』とするとして、やはり私と『人』に何の違いがあるという。自ら意思を持ち、思考をし、記憶する…だが私は『人』では無い。では人を定義するものとは何だ。お前は、“お前達は”何を以って人とみなし、私を人とみなさない?」
すらすらと、読み上げるようにメリッサは疑問を口にする。それらを聞き終え、たっぷり時間を開けた後、静かに、搾り出すようにジョウガは答えた。
「自覚だ。お前がお前自身を人間だと思うなら、お前は人間なのだろう」
「だからお前は人間か、ジョウガ」
「そうだ」
重く肯定するジョウガを見、メリッサは楽しげに笑った。
「私は“人でなし”として生まれてこの方、多くの人間を見てきたが、なりたいと思ったことは無い。お前を見てるとなおさらだ」
「光栄だな」
「今のままでも十分楽しい」
「それは良かったな。…で、じゃあ何であんなこと聞いた?」
「いや別に。欠けたものが明確なら、埋め合わせるのも簡単なんじゃないかと思っただけだ」
「………?」
メリッサの意図するとことを解りかね、ジョウガは言葉を詰まらせた。表情を変えることも首を傾げることもしなかったが、何も反応しないのは考え込んでいるからだ。
「解らないのか? つまりだな…」
「やめろ。嫌な予感がするから聞きたくない」
制止にかまわずメリッサは続けた。
「私はもともと人間になるはずだった。だが私には人間になるために経なければならない140余日が与えられなかった。生命でありながら、生物の形を取ることが出来なかった。ならば、“その140余日があれば私は人間になるのではないか?”」
「生まれなおす…ということか? 不可能だろう。死体を繋ぎ合わせて人間を作る方がなんぼか現実的だぞ」
「それこそ薬ならではというところだな。今の私ならば、子種に私自身の精神まで継がせることが可能だ」
さらっと脅威的な言が聞こえた気がしたが、ジョウガはその部分を綺麗に無視し、基本的な疑問を投げかける。
「お前自身が育まれるのなら、母体はどうするんだ?」
「適当に連れてくればいいさ。なんなら、アップルフィールドに頼んでみようか。性差なぞ、設計図をちょいといじればどうにでもなる」
発言と同時に、閃くような速さで紅い刃がメリッサの首の直ぐ横を抜けた。刃が掠めた髪の毛が数本、開いた本の頁に落ちる。刀を支えるジョウガの腕は一分の揺らぎも無く、間一髪でメリッサの首を捉えていた。
その反応は予想済みだったようで、メリッサは慌てることも無く悠然と笑っている。
「本に傷をつけるなよ。『面倒ごとは嫌』なんだろう」
「うちの子孕ませたら本気で叩っ斬るぞ」
「お前今人間としてすごくオカシなこと言ってるって気付いてるか?」
メリッサの冷静な指摘に、ジョウガは何も言わず刀を収める。
そして暫しの沈黙の後。
「お待たせいたしました、お二人とも。目当てのものはちゃんと覚えてきましたよ」
書架の間からひょこりとアップルフィールドが顔を覗かせた。待たせては悪いと慌てて来たらしく、少々息が上がっている。その後ろから早足で図書館の職員が着いてきていた。子供の早歩きに付き添った職員は、さすがに息を切らしてはいない。
アップルフィールドと図書館職員は、二人の空気の険悪さに気付いた。職員は不安そうに二人を見ていたが、アップルフィールドはこのような事態には慣れていたので、いつものように軽い調子で尋ねる。
「何かあったんですか、二人とも?」
「別に」「なんでもない」
即答で、ハモって返ってきた応えに。
アップルフィールドは何も言わず、笑顔で小首を傾げて流した。



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