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このブログは企画系創作作品をまとめたブログです。主更新はオリキャラRPG企画になっております。
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珍しくORPG以外の更新。魔女っ子企画の小話です。
6つあるお題のうちの一つですが…他がさっぱり思いつかなんだ。
つか書いてから思いましたが、自分の書く主従は以心伝心が過ぎると思うんだ。以心伝心と言うか、互いのことをよく理解しすぎだと思われ。ちょっとくらいすれ違えばいいのに。
たまにすれ違っても片側の策略だったりしますしね。

ひとまずこれが終わったので、次はバトン考えます!w
今のとこ回答思いついてるのファー編だけですが…。




■気分的に魔女だと言い張る6のお題

02.午前三時のお茶会


深夜。
揺らめく灯火とティーセット一式を持って、パイモンは目の前の扉を3度ノックした。返事が無いことを確認して扉を開ける。本来ならここで入室を示す言葉でもかけた方が良いのだろうが、ふとした悪戯心がよぎり、無言のまま部屋に入った。
部屋を行く足音は無い。床に敷かれたカーペットのせいもあるが、フルアーマーを着ていても足音を立てずに歩くことは彼の特技であり、また嗜みであると考えているからだ。
部屋の主はベッドに座り、窓際に蝋燭を立てて本を読んでいた。
そのすぐ後ろまで近づいていき、パイモンは囁くように話しかける。
「読書の供に、お茶でもいかがですか? お嬢様」
数瞬の間の後、ゆっくりとメルヤは振り向いた。表情は普段と変わらないようだったが、微妙に違う。わずかに疲れと驚きが見て取れた。
「……パイモン。あなたどうして、こんな時間に」
「今日はお父上様から新しい本が届いたでしょう。本が届いた日はいつもお嬢様が夜遅くまで読んでるのは知っておりますから」
「わたしが起きてるから起きている?」
「はい。主人より先に休むのは私の美学に反します」
「そう」
メルヤは短く返事をし、パイモンと読みかけの本を交互に見た。本は残り頁が3分の1程。朝に起きてから新しい本の棚出しをするまでの間には読み終わる。
「じゃあ、寝る前に一杯頂こうかしら」
「畏まりましたお嬢様。良い夢が見られるように、ミルクを入れましょう」
にっこりと微笑むと、パイモンはメルヤの机にティーセットを広げ手早くミルクティーを淹れた。ミルクと紅茶の香りに混じって甘い花の香りが部屋に広がる。ベースは紅茶だが、カルデアが調合した特製のハーブティーだった。
香りを楽しんでからメルヤは一口お茶をすすり、唸る。
「やっぱり、おいしい」
「どうしました?」
「わたしもお茶の淹れ方を知らないわけではないけれど、むしろ色々調べたことはあるけれど、これほどおいしくは淹れられないわ。何か理由があるのかしら」
「それは本を読んだだけではダメでしょうね。何度も繰り返して、コツとして覚えるものですよ」
「コツって結局知識や情報でしょう」
「頭で覚えるのと身体で覚えるのは別物です。両方揃ってこその有用な知識でしょう」
「あなたもカルデア達みたいにわたしを経験不足って笑うの?」
メルヤは少しむっとした様子でパイモンを見る。そういえば、今日も昼頃に主人がそんなことを言われていたかとパイモンは思った。
「まさか。今のお嬢様を我々の経た歳月と比べるなど愚かの極みです。それに今がまだ未熟であったとしても、お嬢様には未来があります。我が主は現状で満足せず、更なる高みへ向かうことの出来るものであると、私は知っておりますから」
「それは悪魔の未来予知?」
「未来を覗くまでもない。私が仕える主ですから、そうなるに決まっています」
自信たっぷりにパイモンは断言した。そこまで言われてしまうと主人であるメルヤとしては若干気恥ずかしく…はならず、むしろ他人事のように思えてしまう。
「パイモンって変わった悪魔ね」
「そうでしょうか?」
「悪魔ってもっと自尊心の強い自分勝手なものだと思ってた。というかパイモン以外は大体そうね」
「お嬢様には私がそのようには映りませんか」
「全く」
言い切ったメルヤに、パイモンが苦笑する。
「私としては、精一杯“そのようなもののつもり”ですが」
「?」
「お気づきでないなら良いのです。カップ、下げましょうか。せっかくお嬢様が寝る気になってくださったのですから」
差し出された手にメルヤはティーカップを手渡し、毛布にもぐりこんだ。多分彼のティーセットの片付けは、メルヤが横になるまで終わらないのだろう。
寝入るのにちょうど良い体勢がとれるのとほぼ同時に、パイモンはお盆を持ち上げた。「おやすみなさいませ、お嬢様」微笑みとともに一礼をし、使い魔は部屋を出る。
「ねえ、パイモン」
その背中に、メルヤは問いかけた。
「何でしょう?」
「あなたが今まで仕えてきた中で、あなたの希望に足る魔法使いは居たかしら?」
「……いいえ、一人も。お嬢様が最初の一人になれると、信じております」
ゆっくりと扉が閉まった。閉ざされた扉を眺めながら、メルヤは言われた言葉を反芻する。そして一つため息を吐くと、扉の方を向いて横になっていた体勢を、寝返りをうって扉に背を向ける形に変えた。
「確かに、悪魔らしいわね」
ひとりごちるてから眠りに落ちるまで、そう時間はかからなかった。



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