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20 2010 / 06
父の日ネタ。
ネタって程でもありませんが。

ポーラさんと百足さんお借りしました!
場所固定サブの日常話を書くときは、どうしてもモブメンバーの登場が多くなりますね。

一応注釈付けとくと、
・ラプレツィア …前の内政局長で、ファーレンハイトの幼馴染。現在は2児の母。
・フィル、ルディ …ラプの子供。フィルが6歳の男の子で、ルディが1歳の女の子。
・カレルベイン …現内政局長で、ラプの養女。
・アーダルヘイル …ラプの旦那。現氷刃騎士団長。

・クウォン …王従の貴族。変な人。
・プラチナ、イアン …クウォンの従者。

こんな感じでしょうか。





「―――それでですね、カレルがプレゼントしてくれたお洋服を着ていましたら、ダルが褒めてくださいましたの。顔真っ赤にしちゃって。何時まで経ってもこういうことに慣れないとこ、ほんとに可愛らしい。しかもその服、ルディとお揃いになってまして、あの子もこういう気遣い出来るようになったんだーって感動しちゃいました」
「それはよかったな。そういえばガルデネルドはもう1歳か。色々とにぎやかになってくる頃だろう」
「ええ。ルディは最初にパパの方を先に呼んだんですよ。私が何度も教えた甲斐がありました」
熱の入った様子で延々喋り続けるラプレツィアに、ファーレンハイトは流すように相槌をいれる。彼女が国王私室を訪れてからというもの、ずっとこの調子だった。
同じく部屋に居たポーラは、若干疲れ気味だ。最初にファーレンハイトを尋ねてきたのはポーラで、後から来たラプレツィアに気を遣い退席しようとしたところ呼び止められ、一緒にお茶をすることになったのだ。そのときは流石にただの気遣いだったが、今は無理にでも帰っておけば良かったかとちょっとだけ思っていた。
訪ねられたファーレンハイトはと言うと、こんなことには慣れっこなのか程よく適度に頷いたりしながら聞いていた。流れが洗練されすぎていて、逆に聞いていないのではないかと思うほどだ。
「今日はフィルも来ているのか?」
「はい。ダルが仕事をしているところが見たいと言っていたので、氷刃騎士団本部に居ると思います」
「アーダルヘイルの部下の何人かが護衛に駆り出されていたからな。そうなんだろう」
「あの子も最近積極的に武術に打ち込むようになりまして…ダルのようになりたいんですって。まるで昔のトールを見ているようですわ」
「いいことじゃないか。男の子なら、父の姿に憧れるのは自然なことだ」
「あ、わたしも母の姿に憧れたことあります。ファーレンハイト様も、お父様に憧れていたのですか?」
なんとか話の輪に入ろうと、ポーラが控えめに発言をした。
すると、空気が止まった。
数瞬の間の後、辺りの雰囲気に気付いてポーラは小さく首を傾げた。話をしているときそのままの笑顔で固まったラプレツィアの笑みが、若干曖昧な感じになる。そんな状況の中でファーレンハイトは、特に表情を変えるでもなくポーラに言われたことに対して真面目に返答を考えているようだった。
「陛下はあまり先代国王様とはお会いになれなかったので…」
「尊敬してたぞ、昔はな。…いや、今でもしてるが」
言葉を選ぶように慎重に話すラプレツィアに被せて、ファーレンハイトはばっさりと言った。言い放ってから、発言が被ったことに対してラプレツィアに謝る。
「すまん、ラプ」
「いいえ、お気になさらないでくださいませ。私の方こそ要らぬ言を言ってしまったようで…」
「気にするな。両手で数える程しか会った記憶が無いのは事実だしな。昔は俺の病のことも、全く正体不明だったし仕方のないことだ」
「も、申し訳ありませんファーレンハイト様! わたしがおかしなことを聞いてしまったみたいで」
「いいんだ。さっきも言った通り仕方のないことだったし、数度しか見たことがなくても憧れていたのは確かだ」
あたふたとしているポーラの様子を見て、ファーレンハイトは楽しげに微笑んだ。
「好きな花がさ、」
「はい?」
唐突に、ファーレンハイトは話始めた。
「俺はあまり父上と会ったことが無かったから、会った分しか印象が無かったんだ。いつも見るのは『国王』としての父上で、俺と接するときも変わらなかった。王国史やなんかでも習うのはもちろん王としての父上だから、印象としてはそれが全てだった」
ファーレンハイトは静かに語る。
「だから、それ以外のことは他の人間から聞いたことばかりでな。と言っても俺の周りに居たのは俺の教育係だったミッドガルドと、当時の内政局長養女のラプレツィア、城の衛兵だったアーダルヘイルとクレメンス兄上くらいだったから大した事も聞けなかった。昔は『国王』としての相対したときの父上の印象が強くて、他の事を聞いても深く考えることもしなかったしな」
ファーレンハイトは呆れたような、安堵したようなため息を吐く。そして後ろの窓辺に置いてあった花瓶に手を伸ばすと、一輪だけ活けられていた花を取った。
「父上が好きだった花。この青が好きで、また母上の白い髪に綺麗に映えるからと贈ったことがあるそうだ」
「でも、その花…」
「ああ。《海滴花》―――葬送用の花だな」
その花は、ヒューフロストで葬儀の際、棺に敷き詰める花だった。浅瀬の海か深い泉のような淡い青。アイスローズと並ぶヒューフロスト独自の花だが、外への知名度が低いのはその用途ゆえだ。
ヒューフロストにかつて先住していた氷妖種族は、死後の世界は海の中にあると考えていた。それは山の奥深くに穴を掘り地下にて暮らしていた彼らにとっては、流れる水が流れ着く先こそが世界の終わりという考えがあったのかもしれないし、この地に降り積もる雪が発生する場所が海上であることを知っていたからかもしれない。彼らは死者が出ると、遺体を焼いて川に流すという葬送方法を取っていた。だから、死後の世界がある海に無事にたどり着けるように、海で溺れぬように、海難防止の願いを込めてこの花を葬送に使ったのだという。
今のヒューフロストでは川に流しはしないものの、葬儀は火葬で行い、またこの花を使う。人が丸々入った棺を埋める穴を掘るよりは、灰の入った箱を埋める穴を掘るほうがまだ楽だからというのが火葬の主な理由らしいが、かつてこの地に居た者達への敬意もあるのだろう。
「そんな感じの話を聞くとさ、ん? ってなるだろ。厳格で聡明な『国王』の印象が若干揺らぐというか、父上って案外アレだったんじゃないかなーと思わんでもない。しかも母上にその花を贈ったのは、ペルシスくらいの歳のときだったらしい」
「それは確かに…」
ポーラは最大限控えめに、だが完全に同意した。ラプレツィアも苦笑いを浮かべている。
そんな話をしていると、唐突に部屋のドアが叩かれた。ファーレンハイトがどうぞ、と入室を促す言葉を発するよりはやや早く、扉は開かれた。
「ご所望のものを用意いたしましたよーっと。にしてもこんなもの何に使うのやら」
「ご苦労、百足」
入ってきたのは視界を覆わんばかりの《海滴花》…もとい、花の入った籠を抱きかかえた宰相私兵・百足だった。
「言われた通り、城下中の花屋から買ってまいりました。で、どうします? 部屋に飾るにしても悪趣味ですねえ」
「まあこれくらいあれば十分かな…」
籠に入った花を見て、ファーレンハイトは頷く。
「では、百足。これを持ってアレクティスの西隣にある森の中に流れている川まで行ってくれ。で、花は全部その川に流してくれ」
「ええぇ……何のためにです?」
「いいから。大して遠くもないし、ちょっと行って帰ってきてくれればいい」
「ご命令とあらば行きますけど…」
「では頼む」
籠を押し戻し、強引に百足を部屋から追い出した。
ポーラはそのやり取りに首を傾げたが、ラプレツィアはああ、と微笑む。扉を閉めて一息吐いたファーレンハイトに悪戯っぽく笑いかけた。
「こんなこと話しておいて、ちゃんと覚えてらっしゃるのですね」
「覚えてるからこそ、こんな話をするんだ。いつもなら氷刃騎士団に頼むのだが、ラプが来ているせいで手すきが居なくてな」
ファーレンハイトは花瓶から取り出した一輪だけの葬送花を、再び花瓶に戻した。花は窓から来る外の冷気にも負けず、静かに花を開いていた。



王都・アレクティスから少し離れた場所にある森。
その川辺に黒い服をまとった一団が居た。一団と言っても人数は3人。しかもその内の二人は大人の三分の二ほどしか背の無い子供だった。
3人の目の前にある川、一跨ぎとはいかないまでも助走をつければ跳び越えられる程度の幅しかない川は、この森を抜けて直ぐのところで小さな泉に当たり、唐突に消える。このあたりは小規模な台地になっており、地下を通る滝を抜けて下の地に落ちるため消えたように見えるのだ。
そしてこの川の上流は、アレクティスの西隣にある森へと通じている。
「領主様、今日はどうしてこちらへ?」
「それはね、プラチナ。今日が特別な日だからさ」
「領主様、では今日はどうしてこちらへ?」
「それはね、イアン。ここが特別な場所だからさ。…いや“この先”と“この前”が特別な場所だからさ」
黒い帽子に黒い外套をまとった子供達は、口々に尋ねる。『領主』はそれにいちいち応えた。
ちらちらと雪の舞う森を、『領主』は―――――クウォン・シュバルツシュタインは微動だにせず立っていた。立って、川を眺めていた。祭務官の聖服を着てはいたが、袈裟もケープも無く、また外套も着ていない。子供二人は深く被ったフードの奥から真っ白い息を吐き、寒さで肩などが小刻みに震えているが、クウォンは震える様子も無かった。降る雪は、クウォンの肩に留まろうと落ちるが、するりとすり抜ける。
「寒かったらテントに戻ろうか」
「いいえ、私達が帰っては領主様がお困りになります」
「いいえ、俺達の思いは領主様の思いのままです」
「ふむ。ではもう少し待とう。きっと、もうすぐだよ」
言っていると。
川に、一筋の青が流れてきた。
子供達がぼんやり川を眺めていた目を見開く。真っ黒い川底と、真っ白い雪。それ以外の色彩が川に差し、見る見る広がっていく。
川を埋めるように流れてきた《海滴花》は、暫しの間ゆったりをクウォン達の目の前を横切り、そして流れ去って行った。
「これは一体どういうことですか、領主様?」
「《海滴花》が流れていったんだよ、プラチナ。あれは死者へ贈る花。死者を送る花。でも今日だけは、クレイトスの愛した花だ」
「それは一体どういうことですか、領主様?」
「そのままの意味だよ、イアン。今日が彼の命日だから、彼の愛した花を贈ったんだ。上流に居る誰かさんがね」
クウォンは川の下流を見やる。降る雪と積もる雪で白く煙った下流には、もう花の青を見出すことは出来なかった。
「この川の先にはヒューフロスト王家の墓がある。氷妖は川の行き着く先…海を墓標としたが、人間にはいささか長い道のりだからね。川の下流に造ったんだ。そしてその墓標の内部には、川が流れている。この川がね」
だからこの川に流せば、たどり着く。王家の墓と、その中に眠る人へ、この葬送の花が。
「毎年ご苦労、我が王よ。そしてありがとう。先代の我が王を弔ってくれて」
目を閉じ、祈るようにクウォンは唱えた。
黒い聖服の肩がうっすら白くなるころ、クウォンは子供達にテントを片付けようかと話した。





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