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このブログは企画系創作作品をまとめたブログです。主更新はオリキャラRPG企画になっております。
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何処で区切ればいいのか悩み、時間軸で区切ったところ上下で長さがえらい変わりました。

その時間ですが、通常のジョウガが

↓ ジョウガ27歳、嫁14歳で運命の出会い
↓ 3年後、再び出会う。嫁の策略によりジョウガが嫁の国から出られなくなる
↓ 2年後、嫁の猛アタックによりジョウガ、しぶしぶ折れる。この一年後に息子アップルフィールド(テオフィル)を授かるが、出産の影響で嫁死亡。
→ 赤い薬のごたごたに巻き込まれる

という一生を送っていたのに対し、この噺のジョウガは一番最初の出会いこそ一緒ですが

↓ ジョウガ27歳、婿14歳で運命の出会い
↓ 3年後、再び出会う。婿の若気の至り
↓ 5年後、4歳になる娘・会李(上記でいうアップルフィールドに当たる子)を連れて婿を訪問

ということになります。会李(アップルフィールド/テオフィル)の生まれが2年早まってますね。
テレスは男女ともやってることは大して変わりませんが、女と男で印象がだいぶ違いますね。男だと数倍駄目な人になってる気がします。






十年後。

大陸より東の島、そこのとある秘境には人に焦がれし種族が居た。
そして、その種族に混じってかつて《剣鬼》と呼ばれた人斬りが居た。

「邪魔するぞジョウガ」
「あら、鷹緒様。どうぞゆっくりしていってくださいな。今お茶をお入れ致しますね」
「うむ、すまぬな」
昼も数刻過ぎた頃、里の少し外れに住むジョウガの元に客が訪れた。
ジョウガは湯気の立つ湯飲みを二つ盆に盛って来ると、縁側に座り、湯飲みの片方を年老いた男に差し出した。
二人が眺める庭には、竹刀を打ち合う女と少女、そしてそれを見つめる青年が居る。
「だいぶ様になってるじゃないか」
「それでもまだまだですよ…。あの子には剣を持つ意思が無い」
「戦う意思が無いわけではあるまい? 刃を持たずに戦うことも、持って戦うことと同様に難しいものじゃ」
頑固なところはお主そっくりだの、鷹緒はからからと笑った。あなたに似てしまったのです、とジョウガはむくれる。
「後悔は…しておりませんか」
ジョウガはぽつりと呟いた。
「私を里に置いたこと。私は…《七凍紅雪》を本来守るべき兎之宮一族が既に絶えていたとしても、兎之宮から刀を預かった星囁宮の血の者を全て斬って此処に来たものです。それをこの牙翼の里に留まるようにした決断を、鷹緒様は後悔しておいでではありませんか?」
二、三年前になるか。
ジョウガは娘を連れ、拠り所を求めて故郷の国にある懐かしい場所を尋ねた。
かつて師事した人に会い、自らの所業を告げて。
「後悔などしてはおらぬよ。後悔するようなことなどせん…もう、そう決めたのだ」
鷹緒は茶をすすった。
「兎之宮の死も星囁宮の死も妖刀を守る者として想定しうる危険要素だ。それを回避するためにも、同じ妖刀を守る者が互いに監視と牽制を行えるようにセンカに留まるように定めた。これには妖刀が同時に制御を失ったとき、手に負えなくなる危険はあるがの。定めを破ってまで外へ出て行った兎之宮には、全滅の覚悟も出来ていたであろうて」
あるいはセンカを出て行くときから既にこのような事を予想していたのか。暴走した場合に抑えきれるか判らないから、一族とごく一部の人間を連れて外に《七凍紅雪》を隔離した。そう考えられないこともない。
他の里にはジョウガを危険視する長もいた。人間如きが妖刀を使役できるはずがない、だから一族を皆殺しにするようなことになったのだと。
万が一再び暴走しても抑えきれるように、妖刀の所持数が最も多く、犬と鳥の二種族が治める牙翼の里が責任を持って身柄を預かるということに落ち着いたものの、まだジョウガに不信感を抱く者も少なくなかった。
「他の者の云う事など気にするな。我らの妖刀と違い《七凍紅雪》は持ち手以外に代償を強いる。真に妖刀を理解出来ぬ者に、持ち手を理解せよと云うのは酷なこと。それにな…」
鷹緒は傍らに置かれた白い刀を撫でた。《時食白頭》、大鳥が守りし刀の一本。鷹緒が手にして200余年になる妖刀だった。
「こんなことを言ってはならぬやもしれんが、彼らとて儂らと変わりはせん。ときに寄り添う者が居たとしても…それが悪い事だとは思えんのだ」
「鷹緒様は優しすぎます…」
「優しくなどないよ。刀よりも妻を選べなかった、駄目な男だ」
「私はきっと、刀を選べなかったからもう人を斬りたいと思わなくなったのでしょうね」
《七凍紅雪》はジョウガの手元にはなかった。娘の会李が持つに値する腕を身につけるまで、鷹緒が預かることになっている。
「刀よりも寄り添いたい相手が出来ただけであろう。それも悪い事ではない…あの子の父親かえ?」
「さあ、どうでしょう」
意味ありげにジョウガは笑った。
「ジョウガ殿ー、こちらに鷹緒様は居られますかー」
玄関の方から、ジョウガを尋ねる声が聞こえてきた。


「勝負あり。……そろそろ休憩してはどうか」
「む、妾はまだいけるが」
「…私も、まだっ、大丈…夫、です……」
「休憩しようか」
作務衣の青年は打ち合っていた女二人から竹刀を回収した。木陰に置かれた荷物の中から竹筒の水筒を取り出し、会李に差し出した。
「どうぞ会李殿」
「ありがとうございます終夜さま」
「終夜、妾には?」
「無い」
どげし、と終夜の背中に蹴りが入った。
「…痛いな」
「幼馴染をないがしろにするからじゃ」
「馴染みではあるが、真宵が幼かった記憶が無い」
二撃目。側頭を狙った上段回し蹴りはクリーンヒットし、終夜は横に吹っ飛んでいった。着崩した着物の真宵から繰り出される上段を、会李ははらはらしながら見守った。
「よろしければどうぞ」と会李は飲みかけの水筒を真宵に差し出す。真宵は水筒を受け取ってから、倒れた終夜を心配そうに見つめている会李に尋ねた。
「お会、何故打ち込んでこない?」
「えっ? そんなに攻め手が足りませんか」
「かなり少ないな。お桃は相手の手を誘導してから一気に斬り伏せる構成じゃったが、お主は誘導はしても仕掛けてこない。相手が疲れるまで待つ…という構成もあるが、よほど持久力がなければこちらが先に音を上げるぞえ」
「う~~ん…、あまり実戦は考えてなくて…」
「ま、妖刀なぞ、使わないに越した事はないの」
空になった水筒を、終夜に投げつけた。スコーン、といい音を立てて頭でワンバウンドし芝に落ちた。
「いつまで寝ておる。そら、刀を寄越せ」
「やけにはりきるな、真宵」
「なに、少々懐かしいだけのこと」
真宵は竹刀をぶんどって一本を会李に渡した。柄の握りを確かめる会李を見ながら、ふと口元をほころばせる。
「親子そろって同じことをする」
「へ?」
「お桃は鷹の翁に習ってはいたがの、打ち合いの相手は妾のほうが多かったのじゃ」
「そうなんですか?」
会李はちら、と縁側に座る母と鳥の長を見た。二人は何かを話していて、会李には気づいていないようである。
「毛色やら戦い方はまるで違うが、細かい仕草はよく似ておると思っての」
「そうですか……、…うん。頑張ります、私」
何かを考え込むように呟いて、会李は大きく頷いた。心なしか先程よりも元気が良くなっている気がする。
「くくく…その意気じゃ」
「ジョウガ殿ー、こちらに鷹緒様は居られますかー」
「む?」
遠くから聞こえてきたのは会李たちの聞き慣れた声だった。縁側に居る二人の内の一人を探しているようである。
「兄上か…何用であろうか?」
真宵は首をかしげた。


「こちらに居られますよ」
呼びかけに応えると、直衣に狐の面をつけた男が庭を経由して入ってきた。白と紺の衣装が艶やかな黒髪に映えたが、なにぶんお面が奇妙すぎた。
「お邪魔致しますジョウガ殿」
「ええどうぞ」
「鷹緒様、客人がお見えになられております。見たところ外の…大陸の人間のようです。人探しをしてるとか。害は無さそうなのでお通ししました」
「ふむ分かった。今何処に居る? どんな者を探しているとか…」
「それがいまいち要領を得なくて、人づてに此処に居ると聞いてきたとしか。というか鷹緒様を呼んでくると言ったら、ついていくと聞かなくてですね…」
狐面の男―――――暁真は、お面の鼻先で玄関の方を示す。示す先から「貴様、おとなしく待っていろ!」「僕は早く彼女を探したいんです!」と言い合いが聞こえてきた。
「ここまで来ているのか」
「ええ。……ああ、来ますね今」
待て貴様ー! と衛兵の怒号が聞こえた後、走る音が徐々に近づいてきた。
庭は玄関から家の周囲を回って真反対にあるため、角を曲がらねば姿が見えない。
がさりと通路横の木を揺らして飛び出した人影を確認して、ジョウガは目を見開いた。
そんな馬鹿な、ありえないと。大陸の旅装をした砂色のブロンドの男は、庭と縁側に居る者を見回していた。
でも、私が彼を見違えることなどもっとありえない。
鷹緒が男に話しかける前に、ジョウガは男の名を呼んだ。
「テオフィル…」

呟くように呼んだ声は確かにテオフィルに届いていたようで、目の前の男は驚き、そして眼に涙を浮かべてジョウガに駆け寄り抱きついた。
「…あー、ジョウガ。知り合いかえ?」
「『知り合い』程度の仲には見えませんが」
いい歳の大人が出会い頭にすがって泣くという光景を前に、暁真は涼やかに状況を評価した。
テオフィルをあやすように頭をゆっくり撫でながら、ジョウガは戸惑っていた。此処にテオフィルは居るのは確かだ。でも、なぜ…?
「テオフィル、あなた何故こんな処に居るのですか?」
「何故って、ジョウガさんに会うためですよ」
テオフィルは目尻を拭いながら当然のように言った。
「あなたが二度と会いには来ないと言ったから、僕が会いに来ました。十年もかかってしまいましたけど…」
「そんなことのために…」
「そんなことじゃありませんっ!」
突然声を張ったテオフィルに、ジョウガは驚きのあまり頭を撫でる手が止まった。
「国に居たときは、ずっとではなくともあなたに会えると思っていました。あの場所に居ればあなたが尋ねてくると…。もう国を訪れることはないと言われたから、国を離れる決心がついたんです。ジョウガさんのことを忘れられないし、忘れたくもないんです…!」
再び泣き出しそうな勢いのテオフィルの頭に、ぽんと手を置く。小さく嘆息したジョウガは、だがどことなく柔らかな雰囲気だった。
「あなたが忘れないようにするために、私に付き合えと云うのですか…。本当に、しようのない人」
和解が完了し、ジョウガははたと周囲に居る人々を思い出した。隣では鷹緒がばつが悪そうにし、庭に居た3人も近くまで来てニヤニヤしたりぽかーんとしたり居心地悪そうにしたりしていた。暁真の様子はお面で分からないが。
「鷹緒様、これが会李の父親です」
「そうか。この流れでさらっと言ってのけるお主はすごいと云うか……席を外すべきか悩んだぞ」
「それはなりません鷹緒様。牙翼の里の長として、客人とは会っておかなくては」
「わかっとるわ暁真。会ってやることといえば人を見極めることだけだが…、妙な人物には見えんな。うちの里は来る者を拒むつもりもない。………ジョウガを泣かせたらどうなるかは分からんがな……」
「…ジョウガさん、あの若干怖いオーラを放っているのは」
「師匠ですわ」
ひと月の間だけでしたけど、とジョウガが付け足した。
「これがジョウガの婿か…ずいぶんと女々しいのう。お会、久しぶりに会った父親の感想は?」
「えーと……色が似てますね」
「! エリ…なのかい!? ずいぶんと大きくなったね…って、10年も経てば当然か」
「……微妙にかみ合ってないぞ。会李殿、つかぬことを訊くが父親に関する記憶はあるのか?」
「母から聞いた話だと、10年前に一度だけ会ってるらしいですけど………覚えてません」
娘にばっさり斬り捨てられ、落ち込む『父親』を真宵は笑い飛ばした。会李は「ごめんなさい! でも本当に覚えてないんです…」と止めを刺す。終夜はフォローしようとしたが、会李にすべきなのか落ち込むブロンドの大人にすべきなのか悩み、結局開きかけた口を閉じた。
「それでは俺は本家に報告に参ります。ジョウガ殿、今夜にでもその方…テオフィル殿、でしたか、本家に紹介してください。会李殿の父親ならば、我らが犬の長も歓迎することでしょう」
「では妾も行くかの。お桃、お会、また後で」
暁真は一礼し、帰っていった。真宵も兄について行った。
「儂らもこの辺でお暇しておくか。終夜、お主はどうする?」
「そうですね…ジョウガ殿が本家を尋ねるのなら、俺も今日は本家に行きます。道具の片付けがあるんで一旦は家に戻らないとなりませんが…」
「ふむ、ならば終夜の家に寄ってから帰るとするか。邪魔したな、ジョウガ」
「はい鷹緒様。後で伺います」
終夜の帰路に鷹緒が続いた。
縁側には三人が残った。
会李は母と父を交互に見て、まだテオフィルの存在に戸惑っているようだった。会った事があっても、記憶にないのだから当然か。
テオフィルもテオフィルで、実の娘にどう話しかければいいのか分からないようだった。
二人共見た目はそっくりなくせに、10年前と反応が変わらないではないか。そう思うとジョウガは自然と笑みがこぼれた。
「そろそろ寒くなってきましたね。とりあえず中に入りましょうか?」
「「あ、はい」」
自然に発せられた返事が被った。顔を見合わせた会李とテオフィルは、これもまた同じタイミングで噴き出す。互いに気を構えていることが馬鹿らしく思えた。
「準備をして、大鳥・狗王院両本家へ挨拶に行かねばなりませんね。……テオフィル、」
「はい」
「これからも、宜しくお願いしますね」
「…はい。こちらこそ」




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