忍者ブログ
このブログは企画系創作作品をまとめたブログです。主更新はオリキャラRPG企画になっております。
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
最新コメント
[09/30 由貴]
[09/06 水鴇 裕加]
暇つぶし
たまにコスプレしてます。
プロフィール
HN:
藤縞藤
HP:
性別:
女性
カウンター
ブログ内検索
バーコード
25 2024 / 04
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

02 2010 / 01



紅い海に揺蕩う夢を見た。
染めたように黒い空と、塗ったように白い砂浜の間から、寄せては返す波間を抜けて夢は砂浜に打ち上げられていた。
音は無かった。
匂いも無かった。
でも、確かに海からは生命を運ぶものの“匂い”がした。
打ち寄せる水がどこまで透き通っていても。
引き去る水がどれほど清涼としていても。

この水はきっと、この皮下を流れる物と同一であると。

そう思いながら、打ち上げられた夢の一つを拾った。


それは太古の記憶だった。
天の怒り、大地の慄き、火の狂喜。
世界が全てが悪意を持って、人を襲う。
人では助からず。
人でなければ、或いは。
少女は紅に存続を願った。


それは悠久の記憶だった。
天地の青が交錯する地。
出て行くものがあり、帰り来るものもある。
いずれ来るかもしれない、来ないかもしれない。
交わる天地は答えを隠し、だが決して彼と交わらせることは無い。
忠友は紅に待望を願った。


それはの深遠の記憶だった。
取り巻く数多はただ数多。
只中に居るはずの自分はきっと、その場所には居なかった。
この世に在って、この世になし。
私は唯、己の中に居た。
知恵者は紅に安寧を願った。


それは刹那の記憶だった。
多くの死を撒き死に捲かれ。
長い長い時を享けながら。
生きていたのはただ一瞬。
故に、一瞬を永遠に積み重ねたかった。
戦士は紅に反復を願った。


それは生命の記憶だった。
原初の一欠片から。
再び形無きものを成すまで。
数多の時が見続けた螺旋を独りで辿り。
形無きものが望む場所から、誰もが堕ちる場所へ帰った。
守人は紅に一生を願った。


それは罪罰の記憶だった。
積み上げたものを壊すことはあたわず。
背負う者はいつ折れるとも知れず。
逃げることなど出来はしない。

否、逃げない。



世界が、弾けた。



拾った夢に入った罅が世界にまでも広がっていった。
黒い罅が世界を取り巻き、紅い海が白い砂浜が消えてゆく。
全てが紅い光となって黒い空だけが残ったとき。
ミッドガルドはようやくここが“しんそう”であると理解した。


PR
■ この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
絵文字Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
■ この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
忍者ブログ × [PR]