このブログは企画系創作作品をまとめたブログです。主更新はオリキャラRPG企画になっております。
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02 2010 / 01
紅い海に揺蕩う夢を見た。
染めたように黒い空と、塗ったように白い砂浜の間から、寄せては返す波間を抜けて夢は砂浜に打ち上げられていた。
音は無かった。
匂いも無かった。
でも、確かに海からは生命を運ぶものの“匂い”がした。
打ち寄せる水がどこまで透き通っていても。
引き去る水がどれほど清涼としていても。
この水はきっと、この皮下を流れる物と同一であると。
そう思いながら、打ち上げられた夢の一つを拾った。
それは太古の記憶だった。
天の怒り、大地の慄き、火の狂喜。
世界が全てが悪意を持って、人を襲う。
人では助からず。
人でなければ、或いは。
少女は紅に存続を願った。
それは悠久の記憶だった。
天地の青が交錯する地。
出て行くものがあり、帰り来るものもある。
いずれ来るかもしれない、来ないかもしれない。
交わる天地は答えを隠し、だが決して彼と交わらせることは無い。
忠友は紅に待望を願った。
それはの深遠の記憶だった。
取り巻く数多はただ数多。
只中に居るはずの自分はきっと、その場所には居なかった。
この世に在って、この世になし。
私は唯、己の中に居た。
知恵者は紅に安寧を願った。
それは刹那の記憶だった。
多くの死を撒き死に捲かれ。
長い長い時を享けながら。
生きていたのはただ一瞬。
故に、一瞬を永遠に積み重ねたかった。
戦士は紅に反復を願った。
それは生命の記憶だった。
原初の一欠片から。
再び形無きものを成すまで。
数多の時が見続けた螺旋を独りで辿り。
形無きものが望む場所から、誰もが堕ちる場所へ帰った。
守人は紅に一生を願った。
それは罪罰の記憶だった。
積み上げたものを壊すことはあたわず。
背負う者はいつ折れるとも知れず。
逃げることなど出来はしない。
否、逃げない。
世界が、弾けた。
拾った夢に入った罅が世界にまでも広がっていった。
黒い罅が世界を取り巻き、紅い海が白い砂浜が消えてゆく。
全てが紅い光となって黒い空だけが残ったとき。
ミッドガルドはようやくここが“しんそう”であると理解した。
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