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このブログは企画系創作作品をまとめたブログです。主更新はオリキャラRPG企画になっております。
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工房内で終わってますが手紙の話。
そういえばカルーアはインテグラ出身ということになりましたが、葬儀屋とか文化的な職業を安易に使ってもいいものかと思ってしまいました。結局使ってるんですが。
印刷屋は発明当初の版画の延長のようなやつを想像してます。ありそうだなと思いまして。





深夜、ときおり窯心房のカウンターに明かりが灯っていることがある。
初めてそれを見たときには一体何をやっているものかと疑問に思ったが、夜中に隠れてこそこそとやっていることは自分に気づかれたくない事なのかもしれないと考えて、ディタは確かめようとして下りてきた階段を上りなおした。
幾度かカウンターの灯りに目が覚めたことがあったが、その度に気にせず寝たり階段を下りたり上ったりした。

何度目かの階段を下りたとき。
静かにこちらを向く背中にディタは声をかけた。

「…カルーア」
「あ、ごめん。起こした?」
「いや……まあいいや。何してる?」
「これ?」
カルーアは手にした羽ペンをひらひらと動かした。
ディタが近づいて覗き込むと、カウンターには罫線の入った紙が数枚広げられていた。
「手紙?」
「そう。実家へのね。この前郵便屋の子が来ただろ? あのときに実家とかから手紙が来てさ、返事書こうと思って。一気に書かないと内容が被るから」
「被るって…。枚数指定でもあるのかよ」
「指定って云うか、実家及びその近辺の人たちがいっぺんに送ってくるんだよね。近所の葬儀屋さんとか居酒屋のマスターさんとか。姉貴とお袋も別々に書いて寄越すし……」
あ、とカルーアは言葉を止めた。俯いていたディタが顔を上げると、申し訳無さそうにカルーアは視線を逸らす。
「…ごめん」
「……気ぃ遣うなよ。余計惨めだろ」
ディタにはもう家族は居ない。血の繋がった肉親も、闘技場で付き合いのあった者も皆この世の人では無くなった。カルーアが身内の話をしないのは仲たがいして家を飛び出したこともあるのだろうが、ディタの身の上を思った上でのことなのだろう。
なんとなく察してはいたが、目に見える形で示されるとやはりきつい。
「……話してよ」
「へ?」
「その、手紙くれた人たちのこと。家族とか近所の人たちとか。カルーアの周りの人のこと…聞いてみたいな」
「ん……うん。ディタが聞きたいなら話すよ。お袋は印刷屋生まれの人で、うちは食器を量産するからその絵付け技術の開発で親父と知り合ったらしい。姉貴は大雑把で豪快な割りに流し込みの磁器が得意でさ、たぶんオレの代わりに後を継ぐんじゃないかな。兄弟子は新しく見つけた土のことを書いてくるけど、それよりは姉貴とどうなったか気になるよ。弟弟子でも特に小さかったやつは最近ようやく轆轤で一作品できたって…」
「親父さんの話題を避けているのはわざとか?」
「うん」
軽い調子で頷く。この間届いたらしい封筒の束を広げて、カルーアは一枚一枚誰が書いたものかを読み上げっていった。母、姉、兄弟子、弟弟子、葬儀屋、居酒屋、町医者…と来て父親が無い。
「この人たちはオレが家出するときに挨拶に行った人なんだよね。喧嘩したから親父にだけは何も言わないで出て行ったんだけど、根に持ってるのか未だに手紙来たこと無いんだ」
「それでお前も書いてないのか」
「そ。お袋とかが手紙見せてると思うから、近況なんかは伝わってると思うけどね」
向こうから何か言って来るまで絶対返事してやらない、とカルーアは笑った。
「…オレもさ、」
ふとカルーアは声の調子を変えた。彼にしては珍しい控えめな口調だ。
「ディタの家族や…闘技場の人のこと、聞いてみたい…かな」
沈黙。
少し考えこんでから、ディタは口を開いた。
「今日はもう眠いからヤダ。………今度話すから、もう夜中にこそこそ手紙なんて書くなよ。気にしないで昼間に書け」
「今度…いいのか?」
「いいっつってんだろうが! そういう気遣い要らないんだよ。人のこと勝手に引っ張り回して連れて来たくせに、一緒に住んでて遠慮するとか」
「うーん、なんかごめん?」
よく分かっていないらしいカルーアに、ディタはため息を吐いて踵を返した。
「なんか疲れたわ。俺もう戻るね」
手を上げて休みの挨拶をする。
階段を中ほどまで上がったところで、カウンターの明かりが消えて後ろから階段を登ってくる気配がした。
「…寝るのか?」
「手紙は昼に書くからね。もういいかなって」
「そう」
短く呟き、ディタは残りの階段を登った。



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