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06 2008 / 10
まさかの二話いっき上げ。
一話に統合してもよかったのではとちょっと思いました。

●闘士舎は闘技場側の闘士が住んでる(閉じ込められてる?)ところです。




「君は誰だ?」
「それはこっちの科白だ。ここは俺の部屋だって聞いたぞ」
まさか案内の男が間違うことなど無いだろう。だが、今目の前で椅子に陣取っている男は幻ではなく紛れも無い実体なわけで。
「他人に尋ねるときは、まず自分からではないのかね?」
「そっくりそのまま返してやるよ」
若干の口元の引きつりと共に、ディタは答えた。今まで自分を見世物にしてきた連中とは別の意味で理解し難いものであることを、ディタはうっすら理解した。
男は斜め下あたりに視線を向けて、何かを考えていた。流れるようなシルバーの髪に黒いスーツ姿の男は、座っているから気づき難いが結構な体躯に見える。
結論を出したのか、男は顔を上げた。男の目は朝焼けと夕日のような色だった。
「私はこの闘士舎の最上階に居るものだ。落ち着いて読書の出来る場所を求めてさまよった結果、ここにお邪魔になった。そして私は君と同じ闘技場側の闘士である。以上で君の名に足る紹介になっただろうか?」
妙な口調で男はまくし立てた。男の話す内容に引っ掛かるものを感じたが、名乗らなければその辺りを答えてくれそうになかったのでディタはとりあえず名前を言った。
「俺はディタだ。ディタ・オルカノイド」
ディタの名に、男はかすかに眉を上げた。その反応にも引っ掛かりを覚えたが、それよりも尋ねたい事が優先されて、ディタは男の問いかける。
「なあアンタ、どうやってここに…」
「先程の闘技は見せてもらった。初回にしては良い反応だ。半数位の者は、あの初回に力を出し切れずにあれに喰われるのだ」
「そんなことより……、………アンタさっきの見てたのか」
「無論だ。闘士舎の窓は全て舞台に向かって設えられている。君もたまに見るといい。敵を知ることはここで長く生きるコツだ」
じゃあ名乗る必要は無かったのではないか。舞台に上がる前に、闘士の名前は呼ばれている。舞台を見ていれば当然それも聞こえるはずだ。
「……いや、それはもういい。それよりも、あんたはどうやってこの部屋に入っ…」
「気をつけ給えよ、小さき『魔女』よ」
ディタの問いを意に介せず、男は椅子から立ち上がった。男の見上げるほどの身の丈に、思わずディタの言葉が途切れる。
「この部屋の前の主は、先に言った初戦で喰われた。彼奴はここに来てから初戦まで1ヶ月の間があった…だが負けた。優しい娘だったが、弱くては仕方ない。強くしていろ。それだけがここで生きるのに必要なことだ」
まくし立てて、男は部屋の扉に向かっていった。扉の前で、別れのあいさつをするように片手を上げる。
「待てよ! ……アンタ、名前は?」
呼び止めると男は止まった。止めたものの、この部屋への侵入方法については何度訊いても答えてくれそうにない。ディタは男の名を聞いていないことに気づき、とっさに質問を変えた。
男は振り返って小さく微笑みかけた。彫像のようによく出来た顔立ちなだけに、ディタは男の微笑みにどきりとする。
「すまないが今の君に名乗る名は持ち合わせていない。先ずはその口調を正し給え……君がその美貌に見合うレディになったら、私の名を教えてあげよう」
男はそのまま扉を開けて部屋を出て行った。
ディタは恐る恐る男の出て行った扉に近づいて、取っ手を引く。施錠はしっかりと成されており、びくともしなかった。
扉が開かないことを認識してから、ディタはようやく男にからかわれた事に気がついた。



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