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11 2011 / 06




まだカーニバルの当日には遠いと言っても、町を取り巻く空気はやはり普段とは違った。
早めに観光に来ているのか、それとも元々この島出身でカーニバルのために里帰りに来ているのかは分からないが、とにかくいつもとは雰囲気の異なる人々が港を往来している。
船が停泊ししばしの自由時間となったロカタリーオ号の甲板で、フージェンとマシューは港を眺めていた。
「マシューさんが外出てるなんて珍しいな」
「そうかな? たまには外の空気も吸わないとね」
そう言いつつも、マシューが持つ煙管からは甘やかな紫丁香花の煙が上がっている。
「さっきさ、フージェン君行商の人見てたでしょ」
「なっ、そんなこと…! 確かにキレーな布がいっぱいあったけどさ……!」
「誰も服飾行商とは言ってないけどね」
「っ!!」
「町の娘さんが楽しそうにスカーフ選んでたね。やっぱりああいうのが女の子は好きなのかな」
「あー…好きなんじゃないかな……」
「よさげなの選んでプレゼントとかしたら喜ばれるんだろうね。フージェン君は贈りたい女の子とか居る?」
「…マシューさん、わざと言ってるだろ」
「うん、ごめんね」
キセルをくるくると回しながら、マシューは笑う。
ジト目でマシューをにらんでいたフージェンは、その背後で動く人影を見て首をかしげた。つられてマシューも振り返る。
マストの柱や甲板に置かれた樽の陰に隠れるようにしながら、黒いローブを着た少女が港をうかがっているのが見えた。船を下りるタイミングをうかがっているように見える。停泊してからそれなりに経っているが、もしやずっとああやっていたのだろうか。
「ええと…たしかフウカだっけ?」
呼びかけられて、フウカはビクリと動きを止めた。油の切れたカラクリ人形のようにぎこちなく振り返ったかと思うと、目にも留まらぬ速さでフージェンとマシューに駆け寄り、口元に人差し指を当てて「しーっ、しっー!!」と声を潜めた。
「なにやってんだ?」
「こっ、ここのお祭りがあるって聞いて…来たんだけど、そのっ……降りるタイミングがつかめなくて…」
「だから頭にそれしてんのか。でも仮面をつけるのはカーニバルの当日だろ? 船も、橋を外したわけじゃないから普通に降りればいいじゃん」
「それは…そうなんだけど」
喋りながら、フージェンはふとフウカの雰囲気がいつもと違うような気がした。態度は目に見えて違うが、そういうものではなく。頭につけた仮面を除いて服装に違いがあるわけでもないのに、何かが違って感じられる。
そのフージェンの違和感に、マシューが答えを出す。
「フウカちゃん何かつけてる? 香水とか」
「えっと…」
フウカは先ほど名前を呼ばれたときよりも大きく動きを止めた。そして、顔が見る見る赤くなる。
「カーニバルがあるし、…せっかくだから使ってみようかなって」
「なるほど、それで港の様子をうかがってたわけか。くれたのはこの町の人…って感じじゃないよね。手伝いとかに来てる冒険者の人かな?」
「あ……降り、ますっ!!」
真っ赤になったフウカは、頭にしていた仮面をつけると、脱兎の如く甲板を去っていった。
「……なんじゃありゃ?」
「いやあ、反応が可愛いね」
「いや訳わかんないし」
「可愛いじゃない。貰い物の香水付けたくてもいつもは気恥ずかしくて付けられなくて、仮面をするカーニバルだから勇気出して付けてるんでしょ」
なるほど…、とフージェンは呟いた。だがその表情は釈然としないものがあるようだ。
「どうかしたかい?」
「いや…」
フウカが走り去った方向を見る。港も見たが、フウカの姿は無かった。あの速さならばこの港などすぐに抜けていくだろう。
「なんか…仮面をつけていつもと違うことするのは、嫌だなあって」
「どうして?」
「したいことしてるんだろうけど、いつもの自分を否定してるみたいだ」
「僕は逆だと思うよ」
「えっ?」
思わずフージェンはマシューを見た。マシューは港を見ていたが。
「今の自分が大切だから、仮面つけて別人になってやるんじゃないかな」
「そっかな……」
「フージェン君もなんか試してみる? もし良かったら煙草用に持ってるやつ貸すけど」
「えっ、ええ!? じゃ、じゃあせっかくだから……」
ベルトから下げたケースを開き、マシューは数秒動きを止めた。そして静かにケースを閉じる。
「やっぱ今日渡すのは辞めておこうか。カーニバルまではまだあるし、適当に手持ちの渡すよりも、よく考えて選んだほうがいいよね」
「え、まあそりゃあ選んだほうがいいのかも知れないけど…そこまで本気って感じでもないし…」
「ともかく、今持ってる奴はフージェン君には渡せないんだ。すまないね」
いそいそとマシューはケースをしまう。
ふーん、と首を傾げていたフージェンが、ふと思いついて悪戯っぽい笑みを見せた。
「マシューさん、もしかして今持ってるのって、誰かから貰ったものとか?」
「ははは、それだったら面白いんだけどね」
下を見ると、港に荷物を載せた馬車と、それに並行するレオンが見えた。次の積荷が届いたようだ。レオンがこちらに気付いて手を振ってきた。
「そういえば製図用の道具頼んでたんだっけ。僕はちょっと降りてくるよ」
「オレもそろそろ次の仕事に行くよ」
それぞれのやるべきことを思い出し、二人はそれぞれ別の方向に向かって甲板を後にした。




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