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19 2009 / 08
フルーティな香り漂う生臭い薬の話。
テオフィルが、というか紅い薬がメインの話は初めてな気がします。この程度で薬について語ってるというのもおこがましいですが、考察程度にはなるかと思います。
と言っても答え自体は登録時点で既に出ているのですが。

とりあえずエラムさんお借りしました。
オチてませんが次に続きます。




とある酒場のカウンター席の隅で、情報屋とその客が商談を進めていた。
情報屋が語るのはとある国の内情。政治勢力の様子はもちろん先月の国王の発作の回数まで、一体どのような筋から仕入れたのかと思いたくなるような情報を、客は目を閉じて時折頷きながら聞いていた。
全てを聞き終えると、テオフィルは目を開けて微笑んだ。
「ファリオンが元気そうでよかったです。有り難う御座います、エスメラルダさん」
「礼などいらぬ」
仕事だからの、とエラムが続けた言葉にテオフィルは苦笑しつつも手荷物の中から小さな袋を取り出した。財布とは別にしておいた金貨や宝石の入った袋だ。善意ではなく取引だから、これを支払えば商談は成立となる。
だが、差し出された対価をエラムは手で制した。
テオフィルは小首を傾げる。今までも数度この情報屋を利用してきたが、支払いを断られる事は一度もなかったのに。
「どうなさいましたか?」
「そろそろ頃合だと思ってのう」
ごく軽い酒を一気に煽ってから、エラムは隣に座る少年を見据えた。まだ白々しく首を傾げているテオフィルに対して告げる。
「今回は支払い方法を変えてもらおう。こちらが出す条件に関係するであろうものの『情報』。我が語った分に相当するであろう質のものを話してもらおうかの」
エラムの有無を言わせぬ強い視線に、テオフィルは数瞬の間の後、手にしていた小袋をしまって了承した。
傍から聞けば妙な要求だろう。単なる旅人にしか見えない少年に対して国の内情に匹敵するような情報を求めているのだから。
だがテオフィルはそれが当然のことであるかのように「何が聞きたいのでしょうか?」と尋ねる。先までとは話し手と聞き手が逆になった。
「意外じゃな。もっと渋ると思ったぞ」
「縛り上げて訊き出そうとしてくる方もいらっしゃいますから、それよりかは話したくなりますよ。それに渋っても時間の無駄でしょう?」
「時間など気にせずとも無駄にある」
ボトルから2杯目を注ぎながらエラムは呟く。その言葉に若干の揺らぎあるような気がしたが、テオフィルは気づかないふりをした。
「…と言っても何を話したらいいのでしょうか…。じゃあまずは、大陸北西部の『大渓谷』の紅い泉伝説、神隠しに遭った錬金術師の伝説、古の王国の聖女の神話、大陸の隣にある島国の御伽噺…それぞれに出てくる紅き泉・賢者の石・知性の光・蓬莱の薬は全て紅い薬のことを指しています」
「それは知っておる」
エラムは情報屋として、各地に残る不死や死者蘇生をテーマにした伝承伝説の類は予習してあった。それらの重なる部分を照らし合わせていけばテオフィルの言った伝説には共通点があることが解る。
実はこれを調べていたためにテオフィルから情報を聞き出すのが遅れたのだった。
「…次です。歴代の紅い薬に関わりあるものは薬の祖である魔術師レッドアイズを筆頭に、泉の担い手カベルネ、到達者フィグ、待つものプラム、血霞の杏介、紅き聖女メリッサ、そして守護者アップルフィールド。いずれも実在しています」
「それも知っておる」
そっけない返事と共に3杯目が注がれた。
テオフィルは水の入ったグラスを両手で包みながら、小さく唸った。意外に手合いは薬について調べてあるようだ。
もちろんエラムはテオフィルの反応も含めて想定済みだった。調べるのは大変だったが、調べれば解る程度の情報は網羅してある。そうしておけば調べても解らないことが聞きだせるのならば、安い手間だ。
先程からテオフィルが話している、とある薬に関すること。
数多の者が求めてやまないそれは、薬の効果の半分は既に持ち合わせているエラムにとっても興味深いことだった。薬自体よりも、純粋に情報として。
4杯目に突入しようかという時に、うんうんと唸っていたテオフィルは威を決して話し出した。
「じゃあ、これがとっておきです。…大渓谷にある七色の森の一色・グリーンクラウド。その最奥に、僕たち薬に関わるものの墓所があることはもうご存知かと思います」
「うむ。半信半疑だったが、本当にあるのだな?」
「ええ。そこにある玄室には、歴代の薬の関係者と共に『関係者たちが持っていた紅い薬』が安置されています」
「……なんじゃと?」
それまでと変わらない調子で告げられた爆弾発言に、思わずグラスを持つ手を止めてエラムは聞き返した。
「だから、墓所には薬が置いてあります」
「…御主は本気でそれを言っておるのか?」
「だいぶ本気ですけど…」
何故疑われるのか分からないというようにテオフィルは繰り返す。
真実ならば対価としては申し分ない情報だったが、さらりと言ってのけるテオフィルに情報の価値以前に不安になるエラムだった。
「一応訊いておくが、情報屋に情報を教えるのがどういうことか解っておるのだろうな? 御主が先程我から情報を買った国…かの国の王は紅い薬を求めておるのだぞ?」
「ああ、そんなことを気にしていたんですか。大丈夫です。ヒューフロスト王国の上層は、既にこのことを知っていますから」
「…………なんじゃと?」
更に長い間を置いてから、再びエラムは聞き返した。
「在り処が分かっても絶対に見つけられないから大丈夫ですよ。だって、王様もエスメラルダさんも、紅い薬のことを知らないじゃないですか」
テオフィルは底意地の悪さなど微塵も感じさせない笑顔で言った。



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