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19 2009 / 08
続きました。一応完結。
エラムさんのキャラが不安です。てか口調とか。

今更ですが前編の最後のアレ、あれじゃまるでテオフィルの底意地が悪いみたいに取れてしまうということに気がつきました。
否定したら余計嘘くさいだけなので訂正はしませんが。

初っ端から出てくるペルシスは初見の方もいらっしゃるでしょうがファーレンハイトの甥っ子の一人です。名前だけ出てくるトリス=トリスも。
ミッドガルドの秘書的なことをやっているのでヒュー国の宰相執務室などでうろうろしてるNPCとお思い下さい。



「ミッドガルド様、」
書類の束を抱えて執務室に入ってきたペルシスに目もくれず、ミッドガルドは先月の境界伯からの報告書を読んでいた。
「《蚕蛾》から報告がございました。調査隊が例の墓所内部に潜入したと」
新たな書類を机の端に積み上げながらペルシスが尋ねる。
「…、……調査隊の事、お気になさらないのですか?」
「どうせ今回も失踪するか、何も起こらずに終わりでしょう。無用の期待などしませんよ」
心底興味が無いという風にミッドガルドは答えた。
かの遺跡への調査隊の派遣は今回が初めてではない。初めこそ淡い期待はしていたが、回数を重ねるごとに期待は消え、今は半ば義務のように調査を行っているのみだ。
薬の探索を支持する評議員と貴族の一派はまだ調査を諦めていないようだが、ひと月二月置いてみたとして結果が変わることなどない。
何よりもミッドガルドはそんな薬の発見は望んでいなかった。
ただ有るという場所を調べるだけではつまらない。かの薬には自らの前で膝を折って貰いたいのだ。
「ペルシス。何故調査隊が《紅い薬》をみつけだすことが出来ないのか、解りますか?」
突然の問いかけにペルシスは数瞬黙考し、自信なさげに口を開く。
「…墓所が複雑に入り組んでいて、侵入者避けの罠などが多いからでしょうか…?」
「調査隊の中には一通り屋内を見て回った後、無傷で戻ってきたものも多々あります。もっと簡単な事ですよ」
書類に落としていた顔を上げてミッドガルドは楽しそうに笑いかけた。
「我々は『何を』探しているのです?」
かけられた笑顔の意味が分からず、下手なことを言って尊敬する宰相に失望されたくなくて、ペルシスは困惑の表情で首を傾げた。


にこにこと笑いながらテオフィルは詩を読み上げるように尋ねた。その様子はなぞなぞを仕掛ける子供のようで、およそ質問が不老不死の薬に関わるもののようには聞こえない。
「あなたは一体何を探そうとしてるのですか? それが何であるか、正しく認識していますか?」
「情報屋を馬鹿にするでない。御主が語るのは生命を司るという《紅い薬》の―――――― 」
エラムは言いかけてはたと気がついた。テオフィルが問いたいこと、それは。


「紅い、と云うからには紅いのでしょうね。でもそれだけです。我々は『それしか識らない』。
薬と云われてどんな物を思い浮かべます? 液体、錠剤、粉末、カプセル……もしかしたら内服薬ではないかも知れません。湿布剤のように貼る物かもしれないし、香のように焚くものかも知れない。
もしかしたら、我々の常識ではおよそ薬とは呼べない外見かも知れませんね。治療効果のあるマジックアイテムが薬と称されることもあるでしょう」
「…それが理由ですか?」
ペルシスが恐る恐る尋ねる。
楽しそうに話していたミッドガルドは、ふとゼンマイが切れたように真顔に戻り書類に目を戻した。
「もちろん、ごく普通の薬瓶に入った紅い液体という可能性もあります。でもそうでない可能性が有る限り、我々が単独で薬を見つけられる確率は低くなる。薬の外見を知る者が必要になるんですよ」
そのために貴方やトリスに頑張っていただいているんです、と言葉を結んだ。
「…! …はい、頑張ります」
予想外のタイミングで労われたペルシスは、顔を紅潮させ一つ礼をした。入ってきたときよりもやや軽い足取りで執務室を出て行く。
解り易くはりきるペルシスに、ミッドガルドは息一つ分笑ってから執務に集中する事にした。


各地の伝承にも残り、狙う者が少なくないと言われる紅い薬。
噂を聞いたことがある者は多いのに、その誰も『薬がどんな姿なのか』を知らない。
「それが最後の砦か」
エラムのため息と共に6杯目が注がれた。外見が分からなければみつけられないのは当然か。
隣で笑顔のまま無言の肯定をしているテオフィルに、なんとなくむかっとくる。
「その『薬の外見』とやらは話してくれんのかのう?」
「さっきの情報は、エスメラルダさんは知らなかったのでしょう? だったらその情報で支払いは終わりです」
とっとと荷物をまとめて、テオフィルはカウンター席を立った。財布からここの会計に十分な銀貨を数枚エラムの隣に置いて、退散する。
「では、また今度よろしくお願いしますね」
「今度来たら今日の続きを聞かせてもらう事になるぞ。肝に命じておけ」
脅かしを含んだ文句にも、テオフィルは笑うだけだった。
暖簾のように手ごたえの無い少年の背中に小さくため息を吐きながら、エラムは『今度』の情報を引き出す手立てを考えた。




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