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05 2009 / 08
下のの続き。火サスみたいなノリで読んでいただければ幸いです。
にしてもクーロンが予想に反してだいぶアホの子みたいに見えますね…。設定ではもっと冷静で神経質ぽい感じだったんですが。
そしていつものノリで書いていたら、各キャラの外見的な特徴がまったくと言っていいほど描写されませんでした。
いつも書いているやつは、登場人物が既にイラストで出ていますからね。残念。

トランクガールのミアンジェラは、話の展開上金庫屋さんという職業が都合がよかったのもありますが、RPGなら都市に一つはあるんじゃないかなと思って使いました。
平たく言うとアイテム預かり所ですね。お金を払ってアイテムを預かってもらい、同じ預かり所の支店ならばどの店からで引き出せる。でもこの発想はオンゲーぽい気もします…。
ヒュー国王都のアイテム預かり所では、会話したときの名前欄に彼女の名前が表示されて欲しいなあとか思ったり。
ORPGのシステムがよく解らないのでアレですが、こういうトランクガールとかギルドの受付嬢・クエストオフィスの受付嬢は各国の特色が出てる子だといいなあと思います。施療院や道具屋宿屋なんかも。そのへんトルナレのココリータさんやナナシキのクリスさんはよく出来てると感心しきり。
ミアンジェラもヒューフロスト人っぽい感じのビジュアルなんでしょうな。






久しぶりに再開した友人は、物言わぬ存在となっていた。
首をえぐる深く痛々しい傷は彼自身の手で刻まれたもの。手に握られたナイフはたった一つの死因を示していた。
何を追い、何に追われていたのか。
語る口は二度と開く事はない。
クーロンは薄く開かれた友の瞼を静かに閉ざした。
そして、その手に固く握られた情報局支給の銀のナイフを取り上げた。




局長への報告が終わり、7課執務室へ帰る道すがら。
「クーディーハルト4級官の仕事は丸付きの別課が引き継ぐそうだ」
「ああ」
「彼には親族が居るから、そちらには適当に理由をつけて見舞金が出る」
「ああ」
「正直お前が真っ直ぐ帰ってくるとは思わなかった。敵討ちでも企むかと…流石にそこまでバカではないか」
「ああ」
「………正直に言え。本心はどうなんだ?」
「………」
クーロンは足を止めた。が、言葉は発さなかった。
沈黙を肯定と受け止めたのかデヴィッドは肩を落とした。結果的にクーディーハルト4級官は殺されたと言っても相違ないのだから、犯人探しは情報局が行うだろう。情報局に属している者として、命令もないのに勝手に動くのは許されない事だ。
「お前が動く必要はない」
「局員としてはそうだろうな…。7課はこの件に関しては任されていない。…だがな、デヴィッド」
振り返ったクーロンは紙切れを一枚デヴィッドに突きつけた。
しわくちゃになり血で汚れた紙切れの中央には『49』と大きく書かれていた。
「ガヴリエルは自分のヤマを俺に託した。自分が死んでも誰かに仕事は引き継がれるだろうと解っていて、だ。俺は親友の最期の頼みを断りたくない」
「……止めるつもりはない。止めても無駄だろうからな。だから、大声を出すなバカ」
やれやれ、とデヴィッドは肩をすくめた。勝手に自主活動をするのは構わないが騒いでバレては後が面倒だ。
7課執務室に着くと、デヴィッドは部屋の施錠をした。喫煙スペースである窓際の窓の鍵も確認する。
「お帰りなさい。やっぱり犯人を捜すんですね」
「ああ、そうだよウルスラ。このバカは言っても聞かなくてね」
「止めてもないくせに…」
「止めて欲しかったのか?」
お帰りのキス直後言いたい放題の同僚夫婦に色々と投げやりにクーロンはつっこんだ。
「まあいいさ…、手伝ってくれるなら心強い。なんにせよ“情報局員”だからな」
「手伝うとまで言っていないが」
「止めなかった時点で共犯だろ? どうせ処分は同じなんだから、できる限りの事をしてくれ」
「それが人にものを頼む態度か…」
「じゃあ『やれ』。課長命令だ」
「命令されなくてもお手伝いしますよ。デヴィッドもほんとはクーロンさんが心配なんです。ね、デヴィッド」
ウルスラはデヴィッドに笑いかけた。「だからはやくお仕事の話しましょう? あんまりもたもたしてたら動き難くなっちゃう」
ウルスラに諭され、男二人は一旦気分を落ち着けた。気を取り直してクーロンは今回の事件のあらましを説明した。
「ガヴリエルが情報局規則で死んだのは間違いない。実力が敵わず逃げることも出来ない場合に自決するのは情報局員が常に言われていることだ。そのガヴリエルが追っていた事件の中身だが…」
先程報告に行った際に局長から聞いた話では、ガヴリエルは通貨偽造を行っている組織を調べているとのことだった。
ただの偽造集団ならば力技で検挙することは難しくない。規模の大小はあれど、硬貨を偽造するにはそれなりの設備が必要になり証拠も揃い易いからだ。
問題はそれに貴族などの出資元が居た場合だ。この場合、偽造集団だけを抑えたとしても後援する者がある限り悪事が繰り返される可能性が高く、また集団を抑えているうちに出資元が隠れてしまう恐れもある。
「ついでに、我々がどれだけ動き回ろうとも最終的に検挙に臨むのは騎士団だからな。国王の名を代行する騎士団では、よっぽどの証拠が無い限り動く事はできないだろう」
それは情報局の存在理由でもあった。騎士団や他の政務局にできないことをすること。そして、それが“国が行ったことではない”と言い逃れること。それらを一手に引き受けるのがクーロンたちの所属する情報局だ。
「で、手がかりとなるその『49』とはなんのことだ? 番地か、時か、呪文か?」
「…仕官学校時代の暗号だ。いや、言葉遊びか。4はそのまま『for』、クーロンは俺の祖父の母国語で『九つの龍』と書き表すから9は俺のことだ」
「手がかりですらないのか…」
「そうとも限らない。書き残せば俺のことだと確実に伝わる数字だけに、なんらかの鍵を握っていると思うんだ」
「気の遠くなりそうな話だな」
「そのための頭数だろう」
なるほど、とデヴィッドは納得した。クーロンは初めから手間は承知だったわけか。
ガヴリエルが残した調査資料とは別の唯一の情報だ。引継ぎの課が状況を把握してから動き出すまで、たった2桁の数字分だけクーロン達のほうが有利になる。逆に言えば、この2桁分だけ引継ぎの者たちよりも先に真実に到達しなければ無意味と言う事だ。
「先に思い当たる場所があるから、俺はウルスラを連れてまずそこへ向かおうと思う。だが、番地や日時の可能性もありうるのでデヴィッドはその方面で局内の資料を調べて欲しい」
「わかった。ついでに過去の通貨偽装事件の資料も洗っておこう」
「助かる。……もしもこのことが局長にばれたら…、そのときは正直に全部話してしまえ」
「課長命令も含めてか?」
「そこの判断は任せる」
クーロンはウルスラを連れ立って執務室を出ていった。
デヴィッドは壁の時計を見る。そろそろ誰もが活動を始める時間だ。
また暫く眠れないな、とデヴィッドは資料の閲覧申請書を書きながら思った。


ガヴリエルは情報局には珍しく肉親のいる局員だった。
母と妹。元々王都に近い村の出身で、騎士を志して王都の来たのだとか。
「その妹も、今は王都で就労していると聞いている。金庫屋の受付嬢だそうだ」
「なるほど。その金庫の番号ではないかとクーロンさんは思ってらっしゃるんですね」
城下街に下った二人は、ガヴリエルの妹が働いているという金庫屋を尋ねた。
「いらっしゃいませ。…あら、クーロンさん」
金庫屋入ると、正面の窓口に立っていた女がクーロンに気がついた。女と言ってもまだ二十歳もいかない少女だ。
「お久しぶりです、ミアンジェラさん。お元気そうですね。…突然で申し訳ありませんが、少々お時間をいただけますか」
「? はい、構いませんけど…」
ミアンジェラは同じくカウンターに居る同僚に確認を取って頷いた。
ちょうど客の少ない時間帯だったため店内端の待合スペースを借りることになった。二人掛けのソファが二脚置かれたその場所に、クーロンとウルスラがミアンジェラと向かい合うように座る。
席に着いたミアンジェラは、しみじみと呟いた。
「最近は珍しいことが続くわね。兄に続いてクーロンさんもここに来るなんて」
「!! …ガヴリエルが最近ここへ?」
「はい、ついこの間です。久しぶりに顔を見たくなったからって。王都に行ってからろくに里帰りもしてくれなかったのに」
照れた笑顔で話すミアンジェラに、クーロンとウルスラは顔を見合わせ頷いた。
「ミアンジェラさん、ガヴリエルはその時何か預けていきませんでしたか?」
「いえ、特に何も…」
「では、何か妙な事を言ってはいませんでしたか?」
「ええと、ただの世間話をしていただけですが…」
問い詰められて、アンジェラは戸惑いながら答える。その戸惑いは初対面のウルスラにまで問い詰められたからだけではなく、二人の不穏な空気を感じ取ってのものだった。
「あの、兄が何か…?」
「それは……」
反射的に。
ウルスラは答えようとした。そして慌てて口をつぐむ。
答えとなることは何も言ってはいないが、その態度はとても解りやすく最悪の事態を示していた。
「…ガヴリエルは…任務中に、」
「そう…ですか。ガヴリエル兄さん………」
ミアンジェラが目を伏せると、しばし沈黙が流れた。
今更になってクーロンは自分の迂闊さを悔いる。肉親に話を聞きに行けば、話さざるを得ないことくらい想像できただろうに。
「…大丈夫ですクーロンさん。村を出て行った時から、こうなることは覚悟の上でしたから」
気丈に振舞うミアンジェラに、クーロンの胸が痛む。騎士として死ぬのは家族とて覚悟していただろう。だが、違う。
「すみませんミアンジェラさん、…突然こんなことを。正式な使いは午後には来ると思います」
「はい、大丈夫です。クーロンさんは兄と仲が良かったから、先に報告に来てくれたんですよね」
目尻に浮かんだ涙を拭い、ミアンジェラは微笑んだ。この間来た時もあなたのことを話していましたよ、と最後の兄の姿をなぞるように話し始める。
「自分とクーロンは境遇が似ているって…、お互いに解り合えるからって言ってました。もしかしたら…死ぬ事が解っていたのかしら…」
「俺もガヴリエルに何度助けられたか知れません。その…今日はすみませんでした。突然こんなことを言いに来てしまって」
「いいえ、むしろ感謝したいくらいです。きっと…見ず知らずの使者の方に告げられたら、もっと取り乱していたでしょうから」
落ち着きを取り戻したミアンジェラはクーロンに向かってお辞儀をした。
クーロンもミアンジェラに礼をして、金庫屋を後にした。
金庫屋を離れ、裏路地に入る。クーロンは念のためウルスラに尋ねた。
「代理人を立てて物を預けたということも考えられるが…。ウルスラ、使用中だった金庫のナンバーに関わりのありそうなものはあったか?」
「うーん…。いえ、ありませんでしたね。49をはじめとした9のつく番号はどれも未使用でした。たぶん…ガヴリエルさんを示すであろう番号も使われていません」
「ガヴリエルを示す番号を言っていたかな」
「名前から解りやすい数なんだろうなと想像しました。5でしょう?」
「正解だ。…デヴィッドの知恵か」
「はい。僕はあまり魔術の才能ありませんから」
「所詮は子供のお遊びでつけた暗号だからな」
すぐに解るか、とクーロンはため息を吐いた。
すぐさま思いつく限りの場所に手がかりは無かった。一旦、資料集めをしているデヴィッドを進展を聞くことにして、二人は情報局本部に戻った。




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